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平成29年度2学期始業式 式辞

2017/08/31

平成29年度2学期始業式式辞 

この夏、北米大陸を横断してきました。そこで見て考えたことをお話します。最初に訪れたのはラスベガスです。ラスベガスに到着したときの気温は41度で、その一週間前には47度を記録したという話を現地の人から聞きました。地球温暖化というのとは別次元のアメリカと言う国が持つ多様な自然環境がうかがえました。アメリカと言う国が地理上様々な気候帯に属していることを、身を持って体験した次第です。ラスベガスにはカジノ目当てで出かけたのではなくグランドキャニオンやアンテロープキャニオンなどの大自然をこの目で見るためです。ラスベガスからグランドキャニオンまで車で片道500キロ。時速150キロぐらいで車を飛ばして5時間くらいかかりました。乾燥帯砂漠気候ですから基本的に草木が1本も生えない荒れ地を通るまっすぐな道路を時速150キロで走り抜ける醍醐味を感じました。

次に訪れたのはカナダのトロント市です。トロントは多民族社会です。カナダで生まれた人よりカナダ以外の国で生まれた人のほうが多い街です。世界中の国々の人がまるでモザイク画のようにトロントという町を構成しているわけです。トロントの町で見つからない国民はいないと言われるほどです。カナダはアメリカに比べてずいぶん洗練された国のように感じられました。語学留学などでカナダを目指す学生が多いのもうなずけました。

トロントのホテルからピアソン空港発朝800の飛行機に乗るためにホテルを出たのが朝の430でした。タクシーを利用して移動したのですが、運転手は5年前にカナダにやって来たソマリア人(アフリカの角)。従弟を頼ってソマリアからカナダにやって来たらしい。ソマリアは天然資源豊富な国なのに政治的な混乱のため今では日本をはじめとする世界中の国から平和維持軍の派遣を受け入れているという。まさかソマリア人にこんなところで出会うなんて。タクシードライバーのソマリア人との会話はソマリア英語と日本人英語。ブロークン英語の応酬でした。

最後に訪れたのはニューヨークとワシントンです。今回ニューヨークに行ったのは約20年ぶりのことでした。20代の最後にペンシルベニア州のバックネル大学に勉強に行ったときに時間を取って訪問したのが最初でした。その後、何回か研修でアメリカを訪問した時、ついでにニューヨークを訪れていましたから、今回で4回目のニューヨーク訪問でした。前回訪問した時にも感じましたが、今回いっそう鮮明に感じたことがあります。それは、ニューヨークは最早アメリカで生まれた白人や黒人の町ではなく、中南米の国々から移民としてやってきた人たち、中国・韓国などアジアからの移民の町になっていることです。ホテルに行っても、スーパーマーケットに行っても、レストランに行っても、バスや地下鉄に乗っても、街中で聞こえてくるのは彼らの母語であるスペイン語やポルトガル語、中国語、韓国語。そしてお互いの意思疎通のために用いられるBroken Englishばかりでした。日本人である自分がしゃべる英語がこれほど美しい英語だと実感したのは久しぶりでした。

もう一つ、一緒にグランドキャニオンを訪れた観光グループのなかにニューヨーク在住の日本人家族がいました。父親はとある日本企業のニューヨーク支社に勤務して1年。母親と小5のお兄ちゃんと小1の弟の4名でした。最初は気が付かなかったけど、弟のほうは時々英語で独り言を口走っていました。あるとき母親が「こんなところにもマクドナルドがあるのね…」と感心して言うと、小1の息子は「Oh, McDonald’s」と一言。小5のお兄ちゃんは「マクドナルドか」と言ったので、小1の子だけが英語に浸透されつつあることが分かりました。

ニューヨークの中南米やアジアからの移民たちも、滞在して1年足らずの日本人小学生も、生活の必要性から生まれた英語生活を送っていました。彼らが使っている英語は決して正確ではないにしても、少なくともアメリカやカナダで生活するのに必要十分な英語でした。移民の人たちには最低3か月の英語学習を受ける権利が保障されていると聞いています。3か月の英語学習は決して十分なものではないけれども、生きて行くうえで必要最低限の英語生活を保障してくれる基礎になっているようでした。

言葉は使わなければ伸びない。それが母語である日本語であろうと、外国語である英語であろうと変わりません。日本語は母語だから学ぶことはないなどと勘違いしていませんか?日本の中では使う必要のない英語を日常的に磨きをかけることは不可能です。その意味で、英語での生活を強制される外国で留学生活することが不可欠なのかもしれませんが、この日本においても、将来外国で、英語で生活を送る日に備えて、英語という言葉を磨いてほしいと感じています。

2学期でのあなた達の頑張りに期待して、二学期の式辞とします。